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色が出せない

シルク印刷が古いアナログの技術であることは確かであるが、アナログをバカにはできないし、まだまだ捨てたものではない。弊社には時々インクジェットでは出力できない色の再現を希望するデザイン会社やデザイナーの方が相談やってくる。

金銀や蛍光色、透明に近い色等、特色はインクジェットでは出せない。インクジェットは基本白い紙や素材に色を付けるという概念であるので、白がベースになる。つまり黒い紙に白で印刷しようとしても白のトナーが無いので出せない場合もある。高性能でそれなりにお金を出せば白がだせるインクジェットも存在はするが、需要が少ないので価格も高い。

こうした特色に関してはメジュームという透明色のインキに金や銀の粉を混ぜたり、蛍光の粉を混ぜて色を作っていく。これまた職人作業とも言えよう工程ではあるが、きれいに色が出た時は嬉しい。

デジタル化ですべてが機械化されている世の中ではあるが、アナログ技術は決してなくならないであろうし、無くなれば形ある物への印刷も制限が出るであろう。人間の頭で考えて手で工夫して印刷する、昔ながらの手刷りでも十分印刷ができるのがシルクスクリーン印刷ではなかろうか。

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シルクスクリーン印刷の未来

シルク印刷、又はスクリーン印刷を行っている方や印刷に少しでも興味がある方には共通の事かもしれない、未来はあるのであろうか? 産業、業種としては如何なものか?という疑問を抱えている方も多いであろう。

何を隠そう、3年前は私のその一人であった。先代の癌による急死、そのまま何もわからずにシルク印刷業という仕事をその前まで勤めていた、海外営業という全くことなる土俵からの始まりだった。お金の事を言えば以前の仕事の方が良かったであろう、今も比べれば以前の仕事の方が比較にもならないほど給与は良かった。お金ばかり考えるのであれば違う仕事を選んだに違いないが、シルク印刷というものはやればやるほど奥が深く、これまた終わりが無い職でもあると感じた。先行きは真っ暗でこのままであれば事業をたたんでいたであろうとも思える立場を何とか変えようと思い、2年ほど走り回った。同じことを続けていれば先細り、時代は変化している、今までの仕事に満足していれば何も成長は無い、と感じた。

その為に昔から個人的に気になっていた、パッド印刷を再開することにした。以前わが社にはパッド印刷機があり、それを稼働しているのを見ながら助手として物を運んだりしていたので、原理は理解していたと思う。しかしいつからかその機械が無くなり、パッド印刷ができなくなってしまった。私にはこんな魅力的な印刷方法は無いと強く記憶に残っていたので、何とか再開したいという強い思いから今の導入にまでこぎつけた。

シルク印刷の機材や経験はかなり長い方で、問題は無いと思った。あとはロット数に印刷できる物を増やせばよいと思い、いろんな仕事を受けた。中には不可能であろうという仕事もあったが、工夫すれば印刷できない事は無い。その中で平面のみならず曲面印刷ができるようにまでなった。大型の高価な機械を導入しなくとも曲面印刷はできる。人間全て工夫次第でなんとでもなってしまう。ドラム缶のような大きな曲面の被印刷体がもちこまれようが驚くことは無い。印刷できるように自分で工夫してしまえばよいだけの事である。

皆どの業界にいても先が心配になる、将来が心配になる。私も同じではあったが、自分で道を切り開こうと思えば先など気にならなくなる。根拠は無いが前向きに挑戦しようという気持ちがあればプラスの雰囲気が出てきて、それが自然と良い方向へと進んでゆく。常に心配をして愚痴を言って、経済を政府のせいや円高・円安のせいにしてしまうと先がわからなくなる。円高だろうが円安だろうが、関係なく貫きとおせる仕事をすればおのずと道が開けてゆくし、未来を気にする前に目の前の仕事の処理でいっぱいいっぱいになるからである

シルクスクリーンの乳剤

寒い中今朝は製版を2つほど行った。自社製版ができる設備がある弊社としてはすぐに版を作ることができるので、短納期に対応できるありがたい事ではあるが、かなり寒い。指先もまた感覚を失ってしまったが、ストーブに1分ほどあてたら回復した。これぞ3Kという仕事なのであろうが、きついと言えばきついが、汚いにはインクを扱うので汚い。危険と言えば溶剤を使うので危険ではあるが、私の場合は電動のこぎりなどを使用する場面が多いので、工作機械の扱いで危険のKが入るかもしれない。

製版をしながら思った事ではあるが、このプロセスを理解している方はなかなかいないのではなかろうか、という事である。デジタル化に伴い、パソコンとプリンターがあればボタン1つで印刷ができてしまう。形ある物への印刷はそう簡単にはいかないが、それでも最近は大型の投資をすれば形ある物への印刷もボタン一つでできる機械が出始めている。一長一短ではあるが、お金がある会社であればそのような機械に設備投資をすればよいのかもしれないが、わが社のように小さなシルクスクリーン印刷をやっているようなところや、パッド印刷をしている会社にとって何千万円もの投資をしてまで機械を入れようという気にはならない。それよりは創意工夫により印刷方法を編み出し、やり方を考えれば世の中ほとんどの物には印刷ができるのが事実である。

乳剤の塗布も自動化されているであろうが、弊社では手で塗布、自然乾燥させている。それだけで余計な経費も発生しない分、価格にも反映できるし、エコでもある。ボタン一つで印刷になれている印刷工員の方にとってはなかなかなじめない場面でもあろうが、幸いにも私は最初から最後まで1つ1つ手作業で行うので、いざ自動化だのデジタル化で機械が入ることになっても、過程を理解しているので呑みこみも早いと思っている。

自動化にデジタル化の印刷業界ではあるが、今一番活躍しているのが手刷りに知恵であるのは間違いない。知恵があればできない事もできるようになるし、その考えるプロセスが人間の頭を刺激することになる。社名がカンダプロセスではあるが、先代がつけた名前でプロセスというのはもしかするとこのことを言いたかったのかもしれない

昔のルームメイトとの合流

連休中は特に仕事もせず、昔一緒に住んでいた北京からのルームメイトが来日していたので、久しぶりに再会していろいろと話をしたりした。中国は続く経済成長でどんな感じなんだろうと話ながら、彼はわざわざ日本でスーツを2着も購入していた。中国の方が安いであろうといったが、日本の方が品ぞろえが多く、質もよくてしかも安い、ということなので正直驚いた。

何でも中国は安いというのは外から見た人間の意見で、いろいろと話を聞けば経済成長とバブルのおかげで物価は高くなっているし輸入品はかなりの高価な物になるらしい。そういわれれば昔の日本もそのような状況であったのかもしれないと振り返りができる。バブルがはじけてデフレとなっていると世の中のニュースでは報道されているが、昔の物の値段が異常であったとしか言いようがない。その頃はいけいけ景気でお金もどんどんつかえたであろう時代であり、高い=良いという概念があったのかもしれないが、今はいかに安く良い物をという消費者が増えているであろう

いろんな話をしているうちにどんどんビジネスの話になってしまう二人なので結局は昔話をしながら、今後のビジネスパートナーとして連携することとなり、またの再会を計画して私は一足先に大阪から新潟に戻った。

連休を利用していろいろなところへもいったが、やはり日本という国はまだまだ市場があるし、知らない土地に人がたくさんいると感じた。海外に出る商売も必要ではあろうが、国内市場の重要性も忘れてはならないと感じた週末であったmiyajima

朝一の新幹線で上京

今朝は朝一番の新幹線で東京へ向かった、ブログを書こうと思ったが、出発までに時間もなく、外は雪模様であったので、無理をせずに時間に余裕をもって歩いて出かけた。車内で書こうと思えばかけるのではあるが、私はモバイルWiFiを解約したので、道中のネットアクセスはできない。

そのまま東京に到着し、輸出商品の仕入れではあったが、お店が開くまで時間があったので、妻子のいる神奈川へ向かった。ほんの1時間の滞在ではあったが、1週間ぶりにあえてよかった。そのまま引き返して東京駅へ戻り、仕入れを済ませて新潟に戻った。行きは降り続いていたが、朝ほどはふってはいなく、安心した。

商品の輸出梱包も済ませたので、ひと段落という事でブログを書いたりメールを見たりしているが、パッド印刷の問い合わせがあった。4色カラーで数量も数千個となり、実際の物とカラーの写真を見ていないので何とも見積もりは難しいのではあるが、今夜じっくり考える事にする。4色カラーができる自動のパッド印刷機を所持している印刷会社では問題なくできるであろうが、弊社は手動式になるので、色の再現や細かさによってはかなり大変な作業になる。個数も多いので、それなりの治具を作成して行う事になるではあろうが、不可能ということは無い。

ネットで画像が落ちているとは思うので探して色の具合を確認してから見積もりを出すことにしようと思う

写真たてに名入れ

最終的には何になるのかを聞かされて初めてわかったものもある。薄手の板に青金色で名入れする仕事ではあるが、素材と板の色があまりにも近いので印刷しても全く目立たない。ちょっと角度を変えればよく見えるのではあるが、普通に正面から見るだけでは全くわからない。

たまにこういった見えにくい印刷もあるが、デザイナーがそれなりに工夫をしてわざとそのようにしていると聞かされる場合もある。デザイン一つでかなりイメージが変わるのでデザイナーの仕事も面白いのではあろうが、私はセンスがないのでデザインの仕事はむいてはいない。その代りデザイナーさんが再現したい物を形ある物へ印刷するのが仕事だと思っている。

徐々に仕事量も増えてきて、今週~来週は仕事が詰まっているような状態になってきたので非常にうれしい。

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水商売

冬場の製版作業は非常に寒い、場内に暖房を全ていれるわけにもいかず、そこまでの電気代をかけてしまうととんでもない経費になるので、灯油ストーブでスポット的に作業している場所だけを温めている。3-4か月の我慢なので、何とかなるであろうと毎年言い聞かせてはいるが、やはり体はそうついてゆかない。

自社で製版を行っているが、冬の水の冷たさが異常な温度で、5分も水現像をしていれば指先の感覚がなくなってしまう。水商売とは無縁のシルク印刷ではあるが、製版の時は水商売の方々のご苦労が身に染みて感じる

昨日は久しぶりに寒くなり、気温も零下となったので、いくらスポットで温めてもいっこうにあったまらない。今年こそは場内を仕切れる透明のビニールシートを改造した仕切りを自作でつくろうと決意した。外注すればそれでよいのであろうが、忙しくない時間を見つけて自分で作ることにする。自分でやればどこをどう仕切って配置するかなど思うように決める事ができるし、一番は経費が安く抑えられることだ。そうバンバン使える時代でもないので、火事の心配がある電気の配線以外は自分でやることにしている。

エアコンも1台ほど場内に取り付ける予定で、これはシール印刷をするときの湿気という大敵をなくすための措置でもある。普段は直射日光があたらない場内なので、夏場でも30度以下に収まっている。なのでエアコンは全くいらない場所ではあるが、それでも28度を超えるとシール印刷には支障がでてしまう。

夏場の日曜大工仕事になるとは思うが、こういう風に自分で何かを考えて作ることは昔から大好きであったので、全く苦にはならない。

表札に名入れ

昨日は進行中の印刷がほぼ終わり、多少のんびりできた。まだ数件残っているがデータ校正が終わっていない為に製版ができない。多分今日の午後には完了し、そのまま製版をすれば明日には刷りだしができるであろう。旧からは流れの某メーカーのプラダンの名入れが何千枚と来るので、そちらに集中することになると思う。

昨日はタイル素材に名入れを行った。表札に使う物であったが、こういった案件はなかなかない。多分販売店の方でインクジェットで行える素材をあらかじめ用意しているのであろうか、カッテングシートで済ませるのかもしれないが、タイル素材に印刷ともなればそれなりのインキに硬化剤を入れて密着させなければインキが天候によって剥がれたり落ちてしまう。どんなインキをどんな素材に使うのか、というのはメーカーに問い合わせるかHPを見ればすぐにわかる事ではあるが、これが毎回当たっているとは限らない。素材によってはいくつもの原料を混ぜ合せたり再生材料を使ったりしているので、全く見当はずれの場合もある。

世の中インクジェットで印刷ができるようになっても、決して万能ではない。いくら高価な機械を使っても印刷できないものにはできない事があるし、平面で紙であれば問題はないであろうが、形ある物となればお手上げになってしまうのがインクジェットである。最近は凹凸面でも何でも印刷できるというインクジェットが出てきて、一度見たことはあるが、高価な機械なのでそう簡単に導入はできない。治具作成するにも専門の物を作ったり小ロットではわりに合わないような機械であったので、当分の間は機械に仕事を取られるということはなさそうだと感じた。

全てが機械化されようとしている印刷業界、ボタン一つでだれでも印刷できてしまうようなものまで出てきてはいるが、やはりいまだに手刷り、アナログな仕事をこなさなければ柔軟に対応はできない。機械任せにすればそれだけの初期投資や保守費用がかかり、機械が故障すればそれだけで作業が止まる。その点弊社は全て手刷りの機械任せではない印刷工程になるので、たとえ停電が来ようと怖くもない。晴れた日であれば外に印刷台を運びだし、空の下で印刷をすることもできる。(さすがに冬場は寒くてできないが) 空の下の方が色の出具合が確認しやすくベストではあるが、塵や埃を考えるとやはり外はあまり好ましくは無い。時間に余裕があれば外でもできるようなシステムを構築したいと思う。乾燥も太陽の光と温度を集積できるような箱を作れば自然のエネルギーで乾燥ができ、電気代も節約できるであろうbaba

0.1㎜でも再現できたパッド印刷

昨日は先週から受けていたパッド印刷の上部を終わらせた。一度にパッドを押せば500個なので500回で終わるのであろうが、どうも綺麗にいかず上手くいかないので、仕方なく上下に分け、合計1000回押すことになった。それでも調子が出れば4-5時間で終わってしまうので、やろうと思えば1日で仕上げる事もできたが、冬場の乾燥が悪いので1日おいてから2回目の印刷となった。

この案件は昨年から何度も試作を重ね、受注した案件ではあるが、今朝程に終わった印刷を確かめ、改めて細かい印刷だったと認識した。線によっては1㎜以下で、そのような細かい単位を測る物差しが弊社には無いが、1㎜の線よりはるかに細い線であることは確認できた。写真を撮影しようとしても、さすがに私のアイフォンではピントが合わないくらい細かい線らしく、うまく撮影はできないが一応どんな感じなのかを画像でUPすることにしてみた

パッド印刷をやるにあたりいろいろな難関が出てくるが、毎回なんとか解決して印刷ができている。一番難しいと感じるのが治具の作成に色ののり具合であろうか。治具はしっかりと被印刷体を押さえる事ができ、且つ印刷中には絶対にぶれがあってはならない。ぶれが出たり途中でズレが生じればすべての印刷がパアになってしまう。1つの印刷であれば治具はいらないが、何個も何十個、何百個も繰り返す場合や多色刷りの場合は治具が命になってくる。これも毎回作業場にある何かを使って作る場合があるが、時にはホームセンターに出かけて何かよさそうな治具になる材料を探したりもする。

色の場合はシルクスクリーンの時と異なり、パッド印刷のインキ膜の厚みが極端に少ない。素材によっては沈みという現象が生じ、同じ白でも白に見えない場合がある。2度押し、3度押しとやれば解決できるのではあるが、それなりに難しい課題でもある。特に今回のような1ミリ以下のデザインが混じっている絵柄の場合は2度押しができない。できたとしてもインキの潰れが生じるか同じ位置に正確にパッドを落としてもにじみがでるであろうと思う。何百万円もかけて高性能で精密なパッド印刷機を導入すればできるのかもしれないが、そこまでの需要はもはやないと思える。メーカーのラインで何万個も同じものに印刷するのであれば導入は良いのかもしれないが、多種多様なコンシューマー向け(消費者)のノベルティ印刷、それも100個単位やそれ以下の小ロット印刷でそのような高性能なパッド印刷を使えば単価がまず合わないであろう。

色の沈みや再現がシルクスクリーン印刷とは比べ物にならないので、パッド印刷の依頼がある場合は必ず印刷してお見せすることにしている。ほとんどのお客様が納得していただけるところまで再現はできているが、私としてはどうしても職人気質があるので、100%の仕上がりを目指してしまうが、100%の仕上がりができない事は現実であると知った。

小ロット多品種で印刷しなければならない需要がますます増えてくる時代になっていると思う。弊社で受ける印刷は形あるものであればなんにでも印刷はできる。転写技術は無いが、転写はそこそこの機材が揃えばだれでもできてしまうので、あまりやろうとは思わない。その点パッド印刷は機材があってもなかなか上手くいかないのが現実であり、技術に経験、試行錯誤が物を言う印刷だと思う。小ロットで断る印刷会社さんが多いようではあるが、弊社は率先して小ロットの印刷を引き受けている。まだまだ全国ではできる印刷なのに小ロット印刷が面倒で断っている印刷会社さんが多いのかもしれない。
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新潟に戻った

今朝は5時起きで朝食をとり、6時前には田園都市線に載り、渋谷経由で上野に向かった。そのまま上野から新幹線に乗り、地元長岡市には9時には到着していた。行きは高速バスで4時間ほどかかったが、帰りは新幹線で約2時間、金額は2倍にはなるがその分スピードは2分の1になる。

新幹線も駅ネットで予約しているので、通常窓口で買うよりは30-35%くらい安く乗れる。この方法を以前地元長岡市のまちなかキャンパスのセミナーで紹介したのだが、意外と知らない方が多く、少しでも節約の知恵を提供できたと思った。私は普段からいかに安く、賢く買い物や仕事をするかを考えているので、定価で何かを買うとか、高い値段で仕事を受けるという事はあまりない。

それよりは予算に合わせて、ニーズに合わせた最終的な価格を考えながら印刷方法や価格を出している。1個でもどうしても欲しい、シルクスクリーン印刷でなければならない、という場合は多少割高にはなるがやる場合もあるが、とにかく何でもよい、という方であればシール印刷をお勧めしている。どうしても直に印刷しなければならない理由があり、弊社に問い合わせをされる方も多く、その場合はいかに安く希望の印刷を再現できるかを打ち合わせすることになる。当然予算が無いという方もいるので、その際はそれなりに工夫をし、提案することになる。

2月が始まり、これから何がどうなるかもわからないが、まだパッド印刷の半分が残っているのでそちらを今週仕上げることになるであろう