台風がやってきている土曜の夜、弊社のある神田1丁目は静まりかえっていた、もちろんどこもそうではあるが、倉庫の電気をつけ一人コツコツと仕事をした。連休前に入ってきて連休明けに急ぎでほしいというやらなければならない仕事をやることになったが、それよりは台風の影響で預かっている荷物に万が一の水漏れや洪水などで浸水被害を食い止めるために台風が去るまで見守りたかった、というおもいが強い。
24時を過ぎたあたりから雨模様が弱くなってきた、ところどころ風は強かったが、途中ほとんど雨が降らなくなり、一安心というところで倉庫に厚手の段ボールを敷き、その上に布団をおいて寝ることにした。段ボールは意外と温かい、若いころアメリカに住み、夜の飲食店でアルバイトをした記憶がある。当時は50km以上も離れている場所に住んでいたし、電車通勤だった。仕事の都合で終電を逃してしまい、帰宅できなかったことがある。アメリカで50kmを移動するのはなんも珍しいことではなくごく普通のことだ。
タクシーで帰るにも金額がかかるし、その日のアルバイト代を超えてしまうほどの出費になる。仕方なく地下鉄の駅、サンフランシスコダウンタウンのPowell Street駅の入口に段ボールを敷いてそれにくるまり、朝の始発をまった記憶がある。その時の外気温は5℃ほどだが、段ボールがここまで保温性をもつとはしらず、初めての経験だった。人間いざとなればサバイバル精神でなんとか工夫をする。いろいろな経験が今になり知恵と工夫として役にたっているかもしれない