印刷ブログ
BLOG

得意とすることを伸ばす時 できないことを始める時

弊社では今まで30年以上、シルクスクリーン印刷を営んできた。父親の若いころであろうか、私には記憶にない頃に床屋経営をしていて、何かのタイミングでシルク印刷業に転換したらしい。詳しい理由等はわからないが、そんなことを子供のころに聞いた覚えがよくある

私が2年前に跡継ぎになるまで、平面のシルクスクリーン、アパレル関連の印刷、パッド印刷等、いろいろな事にチャレンジしてきたのを記憶している。子供ながらどんな印刷物にどうやって名入れしたかも意外と繊細に覚えているのが不思議なくらいだ。

その中でもなぜか私の中にはパッド印刷が鮮明に記憶として残っており、父親が亡くなった後に跡継ぎとして入ったが、どうしても忘れられなかった。しかし高価な機械を買う程の設備投資をしても、リターンがあるほどの仕事を得ることができるのかは自信が無い。なんとか探し出して安価なパッド印刷機器を導入、今では少しずつではあるがパッド印刷の案件も増えてきている。それよりもパッド印刷のできる印刷がまだ周知されていないように強く感じる。世の中にはパッド印刷で印刷されているものがたくさんあるのだが、それをユーザー・消費者が知らない、それを如何に知らせるか?が私の課題になりそうだ。既存の印刷会社様に案内をかけてもいまいちパッとしない、のがパッド印刷?!というごろ合わせなのであろうか、、自分なりに如何に周知させるかを日々模索している。

シルクスクリーン印刷の他に始まったパッド印刷、今月からはそこに曲面印刷が追加される。これまた説明が難しいかもしれないが、パッド印刷で押しきれない面積に印刷するのが曲面印刷となる。これら3種の印刷方法をマスターすればたいていの物に印刷ができ、新潟県長岡市では他社ではできない印刷を引き受けることができるであろう。元々他ではできない印刷を持ち込んでなんとかしているのが弊社であるので、今後も技術面では常に改善と試行錯誤を続けることになりそうだ。

毎日同じ印刷、ボタンを押せば刷り出す機械をやろうとは思わないし、そういった仕事は他社でもどこでもできてしまうという現実がある。A社はいくらでB社はいくら、ではおたくはいくらか?という価格比較だけで毎日を過ごすと何の面白味も無いと感じてしまう。それよりはこれはできるか?このような印刷はできるのか?という面で悩んで時間を費やした方が毎日が新鮮且つ挑戦の連続で面白い。

今週はお盆前なのでそれ程仕事が入ってくるとは思わないが、引き受けている仕事の作業にできなかった落版等をおこなってお盆明けに備えたい

シルク印刷とパッド印刷の認知度

シルク印刷やパッド印刷を行っているとこれだけ世の中に出回っている印刷物があるのに、意外と認知度が低いなぁ、と思わされることがある。そもそも印刷物は印刷されていればその工程などどうでもよい、と思われがちなのかもしれない。

弊社ではインクジェットやオフセット印刷という機械を使っての印刷は行わず、手刷りのシルクスクリーン印刷、パッド印刷ですべてをこなしている。ある知り合いに言われたのは、今のデジタル時代に手刷り等と、笑われてしまったくらいだが、彼は手動ではなく、ボタン一つでだれでも機械を動かすことができるような事は得意だと思う。

ボタン1つで誰でもできてしまう、当然資金力さえあれば機械を導入して注文さえとればできてしまうのであろう。となると価格競争も激しくなり、技術を売るというよりは値段を売るだけの商売になりかねない。すべてが機械でできるわけでもなく、機械も大ロットにはむいているのかもしれないが、100個のボールペン名入れや50個のボトル印刷等にはむかないであろう。機械をセットする手間暇や人件費を考えれば価格もとんでもない物になるであろうし、そもそもそんな印刷を引き受けるほど機械を導入している会社も暇だとは思えない。機械=量産や流れている仕事を処理するという事であろうから、突然やってくる小ロットの名入れ印刷には対応は難しいと思う。

その点弊社では小ロットに迅速に対応でき、手刷りながらも何でもこなせるようになっている。最終的にはインキとの戦いになることが殆どではあるが、毎日異なる印刷物が持ち込まれるので飽きがまったく来ない。挑戦の日々と試行錯誤の日々で飽きるどころか、ワクワクもあり、その中でもできるかな?という不安がよぎることもある。

今日はまたどんな印刷物が来るか楽しみな日になってきた